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「びっくりしたよ。自分の弟が莉央といるし、なんかツリーの前で手なんか繋いでるしさ」
「……っ、それは」
「で、どーしても莉央のことを取られるのが嫌でわざわざ帰ってきて……なのに、あいつ俺のことなんて眼中にもねーの」
「……は?」
兄貴の顔がいまにも泣き出しそうな顔をしていてどうしたらいいかわからなくなる。
そもそも同窓会から帰ってきた兄貴は莉央と上手くいったと話していたし、いい顔をしていたはずだった。
「ごめんな、隼」
「なにを謝ってんだよ」
「人を奴隷みたいに扱うのはやめろって莉央に怒られたんだよ。俺」
「莉央に……?」
でもそれだって俺が相手とも知らないし、自分が兄貴といたいから言っているはずだ。
「俺、見せつけるようにキスしたんだよ。莉央に」
「……ん?いつの話?」
「居酒屋に迎えにこさせたろ」
「あぁ……」
「あの時、莉央が見てた」
「……え?」
そんなこと気づいてもいなかった。
きちんと気づけていたら、莉央にとってはどうでもいいことかもしれないけど、それでもちゃんと説明もしたのに。
「あいつ、俺がはけ口にしてるって言ったらめちゃくちゃ辛そうな顔してたよ」
「え?」
「相手が隼だから……なんだろうな。俺に怒ったのだって、それで隼が幸せになれるならっておもってんだろ」
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