第1章:ホワイトアウト

1/4
前へ
/23ページ
次へ

第1章:ホワイトアウト

「おい!起きろ」 「このままじゃ死んじまうぞ!」 (ほお)を叩かれて起こされた 俺、今井春馬(いまいはるま)の視界には無精髭(ぶしょうひげ)を生やした おじさんの顔がドアップで見えた。 「わっ!」 驚いた俺は叫び声をあげながら 起き上がった。 「あっ…すみません。シンジさんでしたか」  弱々しい声で俺がそう言うと シンジさんは安心した様に()め息をついた。 そこまで親しい仲…という訳じゃないのに 相変わらずこの人の態度は馴れ馴れしい。 何時から此処(ここ)に居たのだろうか…。 (寒い…まるで冷気が身体に突き刺さる みたいだ) 起きた瞬間に俺は今まで経験した事の無い 寒気(さむけ)に襲われた。 薄暗い小屋の中をシンジさんが持って来た 懐中電灯の光が照らしている。 昼過ぎに寝たから今は夕方5時過ぎだろうか。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加