3人が本棚に入れています
本棚に追加
「その様子だと状況を把握出来てないね。
いくらホームレスでもラジオ放送くらい
聴けって言ったでしょう…
心配して来てみだけどやっぱり危なかった。
この小屋はもうじき倒壊するよ
雪の重みでね。」
寝ぼけ眼の俺を見たシンジさんは
呆れた口調でそう言った。
ホームレスになってから俺は世間の
話題なんか全く興味がなかったが
シンジさんの話しでは数日前から
大雪警報が出ていたらしい。
彼の言った事は正しかった。
ブルーシートで覆われた俺の小屋は
ギシギシと軋む音がして
天井の中央部分が垂れ落ちてきていた。
今にも小屋は倒壊しそうだった。
「百聞は一見に如かず、外を見てみなよ」
シンジさんにそう言われた俺は寝袋から
這い出るとブルーシート小屋の入口から
顔を出して外を見た瞬間に唖然とした。
雪が俺の腰ぐらいの高さまで積もっている!
猛吹雪で1m先が全く見えない…
見慣れた多摩川河川敷の姿が
様変わりしていた。
最初のコメントを投稿しよう!