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この超能力が、ケンジに生まれたのは、一ヶ月ほど前の日曜日だった。
その日、ケンジは友達のタクマ宅に行く約束があったのだが……空模様がイマイチだった。
「だけど、約束だからな……」
仕方なく出かけようと外に出た時、ビカッと光って、雷が頭を直撃した。
しかし彼は、クラッと目まいを感じただけで、無事だったのだ。
タクマ宅に行ってみると、その用事とは、賭けマージャンだった。
ケンジは、マージャンは苦手だった。
だからタクマは、誘ったのだ。
他に二人のメンバーも揃っていたので、ケンジは仕方なく卓に着いた。
正面にはタクマが着いた。
すると不意に眠気を覚え……目を覚ますと白い霧が現れていた。
ケンジが怪訝に思っていると、何やら文字が現れた。
やがて、それは相手の心の言葉だと分かってきた。
そのお陰で、その日の対戦はケンジが勝者となれた。
それからのケンジは、友達との対戦で負けることはなくなった。
ただ、この特殊な霧が現れるのは、賭けマージャンのようなカネを目的としたギャンブルの時だけだった。
全ての友達は、そんなケンジの変りように、ただただ不思議がっていた。
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