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 それから何時間たっただろうか。  俺は目を覚ますと、金庫の扉が丁度、開き始めた。  ギャング一味の金庫破りが暗証番号解読技術を駆使して解錠したのだ。  扉が全開すると、俺の眼前に真っ白な世界が広がった。  消火器の泡の山が辺り一面を覆っていたのだ。  俺はギャングたちに気づかれない儘、金庫を出てギャングたちが金の延べ棒を袋に入れている間隙を縫って前翅と上翅を大きく広げ、続いて後翅と下翅を広げて羽ばたかせ、空中に舞い上がった。  嗚呼、助かった!  丸焼けになった親爺の屋敷の上空を漂いながら俺は心の中で叫んだ。  よくぞ有言実行を果たしてくれた!ありがとう!親爺!  俺は涙して親爺の冥福を祈った。
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