瓜二つな三人の少女

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瓜二つな三人の少女

二人の少女の言い争いは終わり赤いワンピースを着た少女を見ると次は何やらヒソヒソ話をし始める。 「どうする? きっと僕達の事知らないよね」 「確かに、あいつにとって俺達は初対面だからな」 赤いワンピースを着た少女には聞こえないように話す二人を遠目でじっと無表情のまま見つめるとようやく話が終わったのか二人は床に座り自己紹介を始めた。 「じゃあまず僕から紹介するね。僕の名前は月夜。月の夜と書いて月夜、よろしくね。好きな物は君だよ! 勿論黒百合も好きだよ!」 青いワンピースを着た少女から自己紹介を始めた。月夜と名乗る少女は赤いワンピースを着た少女の手を取り上下にブンブンと激しく握手をすると月夜の頭に鉄拳が落ちる。 「話が進まねえからやめろ」 「……だ……だからって………殴る必要は」 あまりに痛かったのか頭を両手で抑えながら倒れると倒れる月夜を無視して黒いワンピースを着た少女が自己紹介を始めた。 「俺の名前は黒百合。嫌いなものは弱いものいじめ、好きなものは…………特に無い」 「今の間はなにかなぁ~」 黒百合と名乗る少女は自己紹介が終わり、最後に残ったのは赤いワンピースを着た少女。少女はゆっくりと口を開き自己紹介を始めた。 「……………名前………愛」 かなり間が空いた状態で自己紹介を始めたが二人は「よろしく」と優しい声でそう言った。自己紹介が終わると愛はふとあること思い出し二人に質問をした。 「……あの、お二人は……前に何処かで……会った事はありますか?」 「………う~ん………ノーコメント!」 「強いて言えば俺達はお前の事を知ってるが、お前は俺達の事を知らない」 黒百合がそう答えると月夜は少し顔が険しくなり愛は考えているのか右手に顎を添えるような素振りをするが顔は無表情のままだった。 「………もしかして」 愛は何かを悟ったのか、口を開くと二人は何やら冷や汗を掻き息を飲みまるで秘密がバレてしまったかのような顔をした。 「………お二人は…………ストーカーですか?」 「……えっ?」 「はぁ?」 愛にストーカーと思われた事に驚いたのか二人は口を開け目を少し見開いていた。 「う~ん、あながち間違って無いような」 「おい待て、間違いだらけだろ。俺達をあんな変質者と一緒にするな。いいか、俺達は決してストーカーじゃあ無い。決してな」 黒百合は愛に念を圧すように言い、愛は無表情のままこくこくと頷いた。分かっているのか分かっていないのか黒百合は疑うような目をして一層に険しい顔をするが月夜はそんな空気を和ますために二人の間に入る。 「じゃ、自己紹介も終わったし、この部屋を探ってみようよ」 月夜の突然の提案に愛は首を傾げ、黒百合は頭を右手に抱えながら深くため息を吐く。
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