部屋の観察

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部屋の観察

「お前は……一体何を考えている?」 「な~んにも! 考えてない! でもさ、何時までもこのままにしておく訳にもいかないじゃん。何かあるはずだと思う」 二人が話をしていると愛は無言で立ち上がり壁をこんこんとノックするように叩いたり、ペタペタと触ったりとまるで観察をしているように調べ始めた。 「……何も……無い。………隠し扉?」 「いや、それは流石に無いだろ」 愛はこの壁は隠し扉になっているのではと考えたがすぐに黒百合は否定。月夜は床に耳を当てて音を聞いたり、ゴンゴンと右手をグーにして叩いたりとしていた。 「何もおきないね」 月夜は辺りを見渡し確認するがやはり何もおきない。すると何かひらめいたのか月夜は突然立ち上がり目を閉じると、月夜の行動に理解が出来ず黒百合は思わず質問をする。 「一応聞くが、なにやってんだ?」 「頭の中でイメージしたものが出てくるかなって思って」 月夜の行動に呆れたのかまた深いため息を吐くと月夜は「駄目だぁ~」と諦めてしまった。 「全然ダメだった」 「そんな事が出来るわけねぇだろ。出来たら苦労しねえって………」 「黒百合、どうしたの?」 黒百合はあり得ないものを見たかのような顔をし月夜も気になり黒百合が向いている方向を見ると愛が何やら本を持っていた。 「………出来た」 「そ、それ。愛が出したのか?」 「………うん」 愛は口元を本で隠すように持ち二人に見せると黒百合は硬直し月夜ははしゃいでいた。 「本当に! 本当に愛が出したの?」 「………うん」 月夜の質問に頷きながら愛は答えると月夜はまた更にはしゃぎだした。 「愛、凄いよ! 僕全然出来なかっのに」 「何をイメージしたんだよ」 「何もしてないよ」 月夜のその言葉を聞くと黒百合は月夜の両頬を引っ張り月夜は涙目になり黒百合は何だか怖い顔をしていた。 「いひゃい、いひゃいひょ~くろひゅり」 「そりゃ出てこねえよ。まぁ、何かイメージすれば出てくるってのは分かったが、何をイメージすれば良いんだ?」 黒百合は頭を悩ませ考えているとそういえば愛は何やっているんだと思ったのか愛の方向を見ると愛は自分で出した本を壁にもたれて読んでいた。 「愛〜、こっちおいでよ」 「この馬鹿相手に俺一人じゃ疲れるから手伝ってくれ」 二人は愛を呼ぶと愛は手に持っていた本をパタンと閉じて二人の元に小走りのように駆け寄り抱きつくかのように飛び付くとその行動に驚いたのか黒百合は肩をビクつかせ、月夜は愛が自分から抱きついたのが嬉しかったのか抱き返し愛を少し持ち上げくるくると回っていた。
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