行き場のないおまけ・「余計なお世話か。」

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 商品として売られて一度誰かの手に渡った品物は、その瞬間から「古物」となる。  使っていようがいまいが、十分前に買った物だろうが、何百年も経た物だろうが、みんな同じ扱いだ。  それを業として商う為には、古物商の許可が必要になる。最近流行りのリユースやリサイクルの店であれ、家の様な代々続く骨董屋であれ、店を構えているのであれば、それを取得して商売している。 「……うん。」  印刷され、ファイルされた見積もりと予定表、今までに扱った品物のポートフォリオに目を通し、独り言の様に頷いた。  これらの持ち主でもある向かいのソファに座っている客人は、古物商の許可を持っていない。いずれそうなる可能性は有るが、とりあえず現時点では、うちが物品の仲介をしている形だ。 「これで、結構です。後は先方に渡して、返事待ちと言うことで」 「ありがとうございます。宜しくお願い致します」  ほっとした様に顔をほころばせ、ぴんと強張っていた背中をソファの背に預けた姿に、くすりと小さく笑ってしまう。 「そんなにがちがちにならなくても良いのに。別に、取って食ったりしないよ?」 「いえ……不慣れなもので、ご迷惑をお掛け致します」  律儀に敬語で頭を下げる。  仕事は、もう終わったのだ。お茶でも淹れて和んで貰おう。立ち上がって離れた場所に置いてあった電気ポットの水量を確かめると、沸騰のスイッチを押してソファに戻った。
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