46人が本棚に入れています
本棚に追加
「そりゃ、幸せでしょ。そうじゃないの?」
可愛い奥さんと結婚したばかり。
子どもも産まれる。
仕事だってこの調子なら、ゆくゆくは俺を通さず直接仕事を受けられる様になるだろう……出産育児が控えているから、すぐには難しいかもだけど。
「私の実家が、ああですから」
千都ちゃんは目を伏せた。
そうか。未だに、反対されてるんだっけ。それは、千都ちゃんには、気になるだろう……けど。
「そんなに気にしなくて良いんじゃないかな。お子さんが生まれたら、ご実家の皆さんも変わるだろうし」
二人ともカップが空になったので、おかわりを注ぐ。
「それに、壮介は、家族は居るだけで十分有り難いって言うと思うよ」
「……はい。」
俺の言葉で、千都ちゃんの目が少し潤んだ。……いけない。泣かせたりしたら、後が怖すぎる。
「千都ちゃんは、幸せ?」
「幸せですよ?」
しんみりした空気を変えようと問いかけると、間髪入れずに返事が来た。
「毎朝起きて、結婚したのが本当に本当なんだなーって思うと、幸せすぎて泣きそうになります」
……で、その泣きそうな君を壮介がよしよしって慰めるとこまでが、セットだよね?分かりすぎて怖い。
「ただ、助手からっていうか、師匠と弟子からまっすぐ夫婦になって妊娠したから、恋人らしい期間が少なかったのは……ちょっと、残念だったかなー?って」
「……千都ちゃん?」
「はい?」
こちらは聞き間違いかと思うくらい驚いているというのに、言った方の千都ちゃんは、けろりと落ち着いたままだった。
最初のコメントを投稿しよう!