第1章 出会い

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 仙千代は書状を乱丸に差し出し、乱丸は両手でうやうやしく受け取った。 「明朝、ご登城くださいませ。僭越(せんえつ)ながら、この仙千代がお取り次ぎをさせていただきます」 「はっ、よろしゅうお願い申し上げます」  乱丸は再度、頭を下げた。  万見仙千代はほほえみながらひとつうなずき、さっと立ち上がった。  乱丸、六佐、はつの三人は仙千代を見送るため、玄関の外に出た。 「では、失礼いたします」  仙千代は一礼すると、供回りの者を連れて歩み去っていった。 「さすがは信長公のお小姓さま、あんなにも見目麗しい方が、この世におられるとは……」  客人の後ろ姿を見送りながら、はつはほれぼれとした表情を隠そうともしなかった。 「お綺麗だが、齢に似合わぬ凄みのある御仁でありますな」  六佐はうっそりと呟いた。 「乱丸さまもいずれはあのように御立派な若人(わこうど)になられるのでしょうねぇ」  はつが乱丸に目をやると、若い主はいまだに夢から覚めやらぬかの面持ちで、遠ざかる背中を見つめていた。
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