さらに、は?

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さらに、は?

  (蓮ちゃん? 俺が部長のことをそう呼ぶのか?)  田中は頭の中の整理に忙しい。 「蓮ちゃん、分かったから! そう仏頂面すんなって。どこの店にOpen挨拶でそんな顔するマスターがいるんだよ」  坂崎の言葉で救われた。 「蓮ちゃん…… 畏れ多い……」 「木内。そう呼べないなら帰れ、来なくていい。みんなに言っておく。『蓮ちゃん』あるいは『マスター』以外の呼びかけには応じない。口にしたら1回300円の罰金だ。この店のルールだ」 「あ、冗談だからね! 蓮ちゃん、それダメ! 相手はお客さんなんだよ、だいたい偉そうだよ、俺が一番偉いって言ったでしょ?」 「ふん、なんでお前が上なんだ?」 「だって店長だもん」 「俺はマスターだ。料理長でもある。お前、俺に給料払えんのか?」 「……汚い! そんなこと言う? みんな、偉いのは俺の方だからね! 気を遣うんなら蓮ちゃんじゃなくって俺にしてよ!」 (無理だ、ジェイ。あの目を見ろよ、あの威圧感……)  哲平始め、みんなどこで笑っていいのか判断に苦しんでいる。 「今日は寛いでってくれ。月曜からは通常営業にする。今日は後から偉そうなのが何人か来るが、この店では入り口を入ったら無礼講だ。間違っても立ち上がって挨拶なんぞするな。いいな?」 「はい!」  習性とは恐ろしい。揃った返事に、蓮は腕組みしたまま頷いた。  カウンターに入って行く『河野さん』の姿に違和感有り有りで、なんとなくみんなもやり辛くって、壁のメニュー表に目をやった。花の声。 「は?」  
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