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「俺ね、最初迷った。これって蓮の言った『これは引けない』っていう時なんだろうかって。蓮はすごくプライドが高い。目標も高くって俺はいつもついてくだけで、守ってもらうだけで」
花は黙って聞いている。少し分かりかけてきた、今日のジェイが変わった訳が。
「でもあの言葉、『何年ウチで働いて来たんだ』っていう言葉は俺には耐えられなかった。蓮があんなこと言われて俺は……引けないって思ったんだ、蓮に言われてたからじゃなくって自分自身で」
あの言葉は許せなかった。蓮が自分で文句を言うのではなく、自分が蓮を守るべき時だと思った。
「初めてなんだ、蓮のためにあんなに腹が立ったの。本気で腹が立った、帰ってほしかった、あの人に。二度と来るなって……思った」
「ジェイ、悪かった。俺勝手なこと言った。お前の怒んの当たり前だって言っときながら怒る姿が見たくなかったって。俺の気持ちの中で一つ見落としていたものがあったよ」
「見落とした?」
「お前が河野さんを愛してるんだってこと。愛する人のために譲れない部分があるんだってこと。誤解したんだ、店を守りたくてやったんだって。面子のため。違ったな、お前は純粋に河野さんを守りたかった。そうなんだよな」
涙が零れた、花が分かってくれたから。ちゃんと自分の気持ちを言ってくれて話を聞いてくれた。
「うん、花さん、俺蓮が好き。心から愛してる。分かりもしない人に蓮のこと間違った評価下されるのが辛かったんだ」
花はジェイを抱き締めた。
「そうだよな。俺も真理恵が間違った判断で何か言われたら戦う。それと変わらないんだ。俺はお前が変わったと思い込んでたけどお前は変わっちゃいなかった。もし変わったとしたら、しがらみが無くなったから素直に腹を立てることが出来たとこだ」
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