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私は芸能事務所に所属して、グラビアアイドルとしてデビューはしたものの、知名度は低く、芸能人としての芽は全く出ない状況だった。暇な時間が多く、キックボクシングで身体を鍛えている日々が続いていた。プロのキックボクサーで頑張った方が、良かったのかな。と思う時もあったくらいだ。
そんな状況下ではあったが、マネージャーが事件に巻き込まれ、新しいマネージャーに変わってから、グラビアの仕事が増えだし、マニア向けの作品だけど、『孤高の戦士 エリーナ』シリーズの主演にも抜擢された。
仕事も順調に進みだし、事務所から夏休みを貰った。まとめて一週間も休めるなんて久しぶりだったこともあり、嬉しさの余り、たがが緩んでしまったのかもしれない。
私は海外へと一人旅に出た。始めて見る異国の素敵な街並みや文化に感動をし、歓喜していた。そんな状態だったこともあり、油断をしていたのだろう。一人で異国の夜の街を徘徊してしまったのだ。
賑やかな大通りなら大丈夫だろう。そんな気持ちで、街中を散策して楽しんでいた。
眠ることを忘れたかのような、煌びやかな異国の夜の街。カーニバルのような景色に、うっとりとしてしまった。
身体に熱っぽさを感じ、メインの通りを外れ、薄暗い路地で少し休もうとした時!
背後から白い布のような物で口を塞がれてしまった。
一瞬で気が遠くなり、全身から力が抜け切り、意識が消え去った刹那を感じ取った……。
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