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プロローグ
私は海の奥深くへと吸い込まれて行ったが、身体は何も考えずに浮き上がっていく。波に押され、岩場に勝手に辿りつく。
岩場の陰にしがみ付き、絶壁の上を見上げる。
ここなら雪乃ちゃんに見つかることはないよね~。
岩場をなぞっていく感じで移動していき、岸壁から伸びているロープを見つけ、しっかりと掴み、ロープを辿り、岸壁の所にある小さな穴の中に入り込む。
靴だけは脱がなくて正解だったね。裸足でこんなゴツゴツした岩場を歩いていたら、あっという間に歩けなくなってしまう。
岸壁の小さな穴に入り込み、予め準備しておいた薪に火を起こし、身体にタオルと毛布を捲きつける。
当然、衣服も準備してある。
ここまでは計算通りだね。
私は燃え上がる炎を見つめながら、笑みを浮かべる。
これで、私は完全に死んだことになったよね~。
証人は刑事の雪乃ちゃんだ。間違いないよね。
暫くは大人しくしているつもりだけど、これを機にあいつが動きだす筈だからね~。
炎のジリジリとした熱を頬で感じ取り、私は身体を震わせながら、クスクスと笑い続ける……。
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