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12/24(金)
「「「「かんぱーいっ」」」」
男女8人の声が響いた。
「クリスマスイヴなのにクリぼっちって、悲しいよなぁー!あっ、でも合コンでこんな可愛いナースの卵と出会えたから幸せかも」
そういって、私の前に座る男の子はウインクした。
「もう、豊ったら飲み過ぎ!ごめんね、普段は照れ屋さんなんだけどお酒が入るとこうなっちゃって…」
幹事の子が豊と呼ばれる男にウーロン茶を飲ませた。
「ううん。…豊くんって言うの??」
「もちろん!えっと…みーちゃん、だっけ?」
「うん。みんなからそう呼ばれてるんだ」
「みーちゃん、このあと2人で抜け出さない?」
そう言いながら、財布から2人分のお会計を取り出すと、テーブルに置いた。
「あれ、みーちゃんはマフラーしてないの?」
外に出ると、吐き出した息が真っ白になって消えていく。
「実はなくしちゃって。駅前の雑貨屋さんで、マフラー買っていい?来るときにディスプレイされてたネイビーのマフラーが気になってるんだよね」
「じゃあ、行こうか」
そういって、私の頰に手が当たる。
その手がだんだん降りてきて、顎のあたりまで来たときに、私は人差し指を相手の唇に当てた。
「人前だから、今はダメ」
駅前に着くと、気まずい雰囲気を壊すように「あっ」と声が聞こえた。
「みーちゃんが気になってたマフラーって、これ?グリーンが入ったチェックの…」
「うん、これ!…ねぇゆーくん。このマフラー、お揃いで買わない?」
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