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12/3(金)
「ゆーくん!このマフラー可愛くない?」
そういってマフラーを首にかけて鏡を覗き込むのは、僕の彼女のみーちゃん。
今日は夜景の見えるホテルでディナーをした後に観覧車に乗って、観覧車の中で告白をしてOKをもらったばかりだ。
このまま帰るの、ちょっと名残惜しいよね…って上目遣いで僕を見るみーちゃんが可愛すぎて、今はブラブラと駅の近くのショッピングモールを見て回っている。
「このマフラー、みーちゃんにすごく似合ってるよ」
鏡を見ながらポージングを決める彼女を鏡ごしに覗く。
彼女の色白の肌に、深緑とネイビーがベースとなっているチェックのマフラーはよく似合っていた。
マフラーに埋もれた黒髪が、ふわっとしていて可愛さも5割り増しだ。
「ほんと?嬉しい〜!」
そう言いながら、彼女は鏡の前で1回転をする。
「本当に似合うよ。付き合った記念に僕が買ってあげるよ」
そう言ってマフラーをレジに持っていく僕の腕を彼女が掴んだ。
「ねえねえ、このマフラーお揃いにしよ?私がゆーくんのマフラー買うから、ゆーくんは私のマフラーを買ってくれたら嬉しいな…なんて」
そう言ってうつむくみーちゃんの頰は真っ赤だ。
「ね、ゆーくん!」
うつむいたと思ったら上目遣いで僕を眺めて…可愛すぎてどうしようもない。
慣れない”ゆーくん”という呼び方も、みーちゃんがたくさん呼んでくれるから違和感がなくなった。
――なんで呼んだらいいかな?あっ、芸能人の遊佐に似てるから、ゆーくんとかどう?
――俺、名前に'ゆ'とか付かないからそんな呼ばれ方したことないなぁ。
――じゃあ、私が初めてだ!これから、ゆーくんって呼ぶね!
観覧車の中で決めた新しい呼び方も、みーちゃんが呼ぶとナチュラルに反応できる。
僕はみーちゃんが選んだマフラーを手に取った。
「じゃあ僕がみーちゃんのマフラーを買うね。付き合ってから初めてのお揃いだね」
そう言うと、みーちゃんは今日一番の最高の笑顔を見せた。
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