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12/8(水)
今日はみーちゃんと、待ちに待った温泉旅行の日だ。
早めに旅館に到着したので、荷物を少し整理してから近くの商店街に繰り出すことにした。
「あら、お2人で仲良しなこと。お揃いのマフラーをしちゃって」
商店街のおばちゃんが、僕たちに声をかけてくれた。
「深緑色がオシャレね。深緑色にちなんで、この地域の名産のアオサの味噌汁を飲んでみて。美味しいわよ」
そういうと、商店街のおばちゃんは紙コップ1杯分の味噌汁を注いでくれた。
「美味しい〜!すごく温まります」
そう言ってみーちゃんは隣で微笑む。
みーちゃんは愛嬌があってとても笑顔が可愛いので、純粋な彼女の笑顔が伝染して、周りの人はみんな笑顔になってしまう。
あまりの可愛さに思わず彼女を抱きしめたくなったけど、先月のデートの時に外で抱きしめて怒られたことがあるから我慢する。
彼女いわく、外ではイチャイチャしたくないらしい。
――2人きりになったら、いっぱいイチャイチャしよ?
頰を赤らめながらうつむいたみーちゃんを思い出して、僕はニヤケが止まらない。
「もう、ゆーくんったらあまりの美味しさで笑っちゃってる!」
「そんなに喜んでもらえたみたいで嬉しいわ」
僕の意識が遥か遠くに飛んでいる間に、味噌汁をくれたおばちゃんとみーちゃんはすっかり仲良くなったようだった。
「私も主人とお揃いのマフラーをしていた時期があったわね。懐かしいわ」
「そうなんですか?実はこれ、付き合った日に記念として買ったんです〜!」
おばちゃんは、幸せねぇと付け加えると、何かを思い出したように呟いた。
「そのマフラー、流行りなのかしら。さっきも駅で、同じマフラーの男性を2人見かけたわ」
自分がしているマフラーが流行りものだと聞くと、少し嬉しい。
みーちゃんも同じことを思ったのか、僕の手をぎゅっと握った。
「ゆーくん、幸せだね!」
幸せなのは僕の方だよ、みーちゃん。
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