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12/14(火)
「…クリスマスは実習なんだ。一緒に過ごせなくて、ごめんね?」
みーちゃんは看護の実習が忙しいらしい。
最近は特に、会う頻度が少なくなってしまったので寂しいところだ。
でも月に1回しか会えない代わりに、デートではお揃いのグッズを身につけたりして、思い切り楽しむことにしている。
俺は実習のことは詳しく分からないけど、きっと大変なのだろう。
みーちゃんの元から白い肌が、いつも以上に色白のような気がして心配になった。
「あまり無理すんなよ」
そう言ってみーちゃんの手を握って引き寄せると、俺に引っ張られてサラサラの黒髪がふわりと揺れた。
みーちゃんは人前で抱きしめたりキスをしたりするスキンシップは苦手みたいだから、外では手を握るだけだ。
2人きりになった途端に積極的になるみーちゃんはとても可愛くて、付き合ってもうすぐ1年が経つけれども、ちっとも飽きない。
「このマフラーもすっかり色あせたな」
「だって冬は毎日つけてるから…。付き合った記念の大切なマフラーだよね」
そう言ってニコッと微笑みかけた。
みーちゃんが選んでくれたマフラーは男の俺でも気にいる色で、俺はこの日から深緑色が大好きになった。
みーちゃんには言っていなかったけど、実は大学でマフラーをなくしていたので、これは2ヶ月ぶりにつけているのだ。
マフラーをなくしている間はみーちゃんが離れていった気がして、この2ヶ月間は気が気じゃなかった。
「ゆーくん。ぼーっとして、どうしたの?」
ぼんやりとしていたら、みーちゃんが俺の顔を覗き込んだ。
みーちゃんの所々で糸がほつれているマフラーを見ると、俺がなくしていた間も毎日のようにマフラーをつけてくれてたんだなと思ってなんだか嬉しい。
もう二度とこのマフラーはなくさない。
俺はそのためにタグの部分に書いた、YUSUKEという自分の名前をじっと見つめた。
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