9cmでご容赦ください

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「ははは」 さっきまで悩んでいたことが、バカらしくさえ思えた。複雑にしているのは自分自身で、答えはひどくシンプルなものだった。 どうやら、悠生(はるき)結衣(ゆい)に片思いをし、結衣(ゆい)悠生(はるき)に片思いをしていたらしい。 「なあ、結衣(ゆい)……」 悠生(はるき)悪戯(いたずら)っぽい笑みを口元に浮かべて、彼女の耳朶(じだ)に唇を寄せる。 「好きでもないコからマフラー渡されても困るけど、結衣(ゆい)がくれるんやったら、毎年でもオレはうれしい」 「ッ!」 ボンッと音が出そうな勢いで、結衣(ゆい)の顔が一瞬で真っ赤に染まる。耳の先まで赤い。 「結衣(ゆい)がくれるモノやったら、オレはなんでもええ」 その“ペルシャ絨毯(じゅうたん)”でもな、と投げ出された棒針にくっついたマフラーには到底なれそうにないウール100%の“布”を指差した。
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