渇き

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可愛いもんなーと何も考えてなさそうな声で返すオオハシを見て拓也は可愛いけど、と続けた。 「可愛すぎるの苦手…あれだ、ハムスターに似てるよな」 「そこがいいんじゃん!守ってあげたい系年上!砂糖100%!みたいなさ!」 「俺はそういうのいーわ」 夢見る前にちゃんとした彼女作れよ、とオオハシに言えばお前もな!と小突かれる。 「不登校になりそうなの事前に探るのも養護教論としての仕事なんじゃないの」 「可愛い上に仕事も真面目な真希ちゃん流石すぎる」 「お前はそのアホそうな口閉じてさっさと食え」 なんだよー!と文句を言いながら楽しげに自分の席に戻っていくそいつ尻目にみてまだこの教室に己がちゃんと馴染めている気がしてどこか安心感を覚えた。 「…そういえばお前弁当は」 「空いてないから良いやと思って」 「それ以上痩せてどうすんだよ」 母親か。 喉から出そうになった言葉を寸前で飲み込む。 少し小柄で痩せ型の方がオトナの男(ヒト)からのウケが全然違うんだよ、なんて言ったらこいつはどんな顔をするだろう。 言うことないだろうけど。 「早退すんなよ」 「わーってる、放課後呼ばれてるし」 「…あっそ」
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