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鬼と俺。
覚醒した全裸の俺は、狭い布団の中で独り動揺していた。寄り添って眠る大型犬の様な鬼月は幸せそうな表情を浮かべている。
その表情が余計に動揺を加速させていた。
鬼月を起こさない様大きな腕をそっと退けると、俺はボクサーパンツを履きスエットを被ると寝室を静かに出る。そして眼の前にある縁側の戸を静かに開け、裸足にサンダルのまま深夜の庭へと降り立った。
一歩踏み出す度に、鬼月との情事を意識せざるを得ない俺の孔。
薄暗く曇る冬の夜空に明るく光る幾つかの星を見上げ、俺は先程の七色に輝く鬼月の瞳を思い出し大きな溜息を付く。
すると、背後からフワリと何かが俺を包んだ。
俺が初めて冬を越す鬼月へプレゼントしたマフラーだった。
「……え?」
慌てて背後を振り向くと、そこには上半身裸の鬼月が心配そうな表情を浮かべている。
「シュウ、寒いと思って」
口調はいつも通り、すっかり無邪気な鬼月に戻っていた。
つい俺はクスリと笑みを溢してしまう。
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