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さてここで問題です。
真っ白なお肌に、金色のフワフワした髪。二つの目があって鼻があって口があって耳もある。人の形をしたものはなーんだ?
そう、答えは人間……では、無く。
頭に二つの小さな角が生えている生き物……って何だ?
「ツ、ツノがあるっ!顔見たら全然イッヌじゃ無かった!大変なモノを俺は今、この手に抱き締めている!今すぐ手を離したいが、コレはどうなるんだろうか?!コレに俺は襲われるんだろうか?!え?どうなんだ?!」
全身に冷や汗をかいた俺は、この腕の中にいる謎の生物の取り扱いに酷く困惑する。
「……っ、って言うかコレ……お、お、」
“お”まで言いかけて、俺はそれ以上の言葉を口にすることを止める。もし口にしてしまったら、目の前で起きている非現実的な現象を認めざるを得なくなるからだ。
コレ、って……お、鬼ってヤツに似ているよな?!
オイっ?!
すると激しく動揺していた俺の腕の中にいたソレが、モゾモゾと動き始めた。
意外と激しい体動に、俺の腕からソレは落ちそうになってしまう。
「あ、危ないっ」
咄嗟にその小さな金色の髪のモノを俺は、ギュッと抱き締める。
するとその金色の髪のモノは、驚いた表情で俺を見上げていた。
初めて合う視線。
ぱっちりとした二重。
スカイブルーの瞳に、俺の視線もつい釘付けとなる。
綺麗な眼。
外国の子どもみたい。
……角が無ければ。
頭に生えた二本の小さな角を見て、俺はがっくりと項垂れる。
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