鬼が成長

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鬼が成長

満月の夜に拾った小さなアイツを、俺は鬼月(きづき)と呼んだ。 当然ではあるが正しい鬼の育て方を知らなかった俺は、取り敢えず人間の赤ん坊の様に育てみることにした。 勿論、大学を卒業したばかりの俺に育児の経験なんて無い。ネットで調べ、日々悪戦苦闘した。 特に日中、独り暮らしの家に鬼月を置いて家を空けるのは心配で心配で。 一刻も早く家へ帰宅できる様、作業効率を考え仕事をする日々。 幸い近所とも離れている為、角の生えた鬼月とその辺を散歩していても誰にも不審がられることは無かった。こんな時だけ僻地勤務であったことに俺は感謝する。 とにかく鬼月は、人間の赤ん坊と違って学習能力や適応能力が早く優秀だ。 異常なまでのその素早い成長が、鬼月が人間では無い別のナニかであることを嫌でも俺に意識させてしまっていたが……。 同時に、鬼月の外見も急激な変化を遂げていた。うちに来て僅か半年。どう見ても外見は高校生くらいの外人の男の子、否、美青年にしか見えない。初めの頃は、その成長の早さに戸惑いを感じたが最近ではあまり驚くことも無くなっていた。 俺が鬼月に適応してきたのだろう。 相変わらず白く透き通るような陶器の様な肌。スカイブルーの透き通った綺麗な瞳。サラサラで艶やかな金色のウェーブがかった少し長めの髪。 身長165cmの俺より少しだけ……否、顔一つ分は抜き出た背丈。肩幅も綺麗な逆三角形で、彫刻の様に鍛え上げられた綺麗な体躯。 唯一おかしいとすれば、金色の髪の間に生える二本の角だけ。 それ以外は、海外モデルの様なパーフェクトな男だった。
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