鬼と混浴

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鬼と混浴

「ねぇ、シュウ。遠慮無くオレの上に跨っていいよ」 先に湯船へと入っていた鬼月が、両手を拡げ無邪気に俺を誘う。 「は?!」 何言って……。 鬼月の上に跨ったら俺の臀部に、鬼月のアレが密着するだろう? そう思った俺は、全力で拒否をする。 「シュウ、ゆっくりお風呂入りたいって言ってたからコノ体制だったら、少し足伸ばせるよー」 笑顔で続ける鬼月に、不意に俺は眩暈がした。 よろける俺に、鬼月は素早く湯船から出て俺を軽々と抱きかかえる。 「シュウ、大丈夫?」 心配そうな表情で俺を見つめた。だがすぐ様、鬼月は心から嬉しそうな表情を浮かべていた。 「へへへ。コノ体勢、シュウがオレを拾ってくれた時と(おんな)じだね。オレが落ちないように大切にギュッて抱き締めてくれたの……アノ時、嬉しかったんだよ」 既に湯に浸かっていた鬼月の身体はとても温かく、否それだけでは無い温もりが、俺を優しく抱き締めるその大きくて逞しい腕から伝わってくる。 ――あたたかい。 半年前とはいえ、出逢った頃の……まだ小さかった頃の記憶を覚えていたことに俺は感激する。 同時に、あの時の鬼月が今の俺と同じ温かい気持ちであったことを知り、静かに心を震わせていた。
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