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久しぶりの集まり
私は某惑星に正義を貫く人たちの集まりに顔を出している。派手なパーティーをやる訳ではない。ただ、集まることが出来る人達が集まって、話をするだけ。近況報告会みたいな感じ。最も、集まる人数は少ない。私だって毎回は出ていない。
私は倉庫のような建物の入り口で、招待状を翳す。ドアが開く。中に入ると4人の戦士達がいた。
「エリーナ。久しぶりね」
最初に声を掛けてくれたのはリリーだった。ピンク色の髪が印象的な彼女は某惑星に滞在して、平和を守っている。かつて、私が地球にいたように……。
他の戦士達も代わる代わる私に挨拶をしてくれる。ボッサ、ブレイド、ランサーと三人は男性の戦士たちだ。
ここの話で上がる内容は、自分が守っている惑星の怪人や魔人がどんどんと強くなってきている。どうしたら、自分も強くなれるか?人の情念が強ければ強いほど強力な魔人や怪人が生まれる。本当に怖いのは人なのかな。とか、後段については一理ある。それは私も地球で経験した。前段については、何とも言えない。戦士によってパワーの源が違うから一概には言えない。
ただ、身体を死ぬ気になって、徹底的に鍛え抜く。私はそうすることによって強くなれたから、参考意見として言っておく程度にしている。
また、戦士達はほとんどの人が組織で戦っている。ここに集まっている人達は、私以外、皆そうだ。組織でやっていれば、危ない所で助けてもらえたり、強力な武器を与えられたりとか利点はあるけど、私はいい。永遠の命を持つ私にとって、蓄積された想い出が辛い物へと変わって行くだけだから。
最後はお互いの健闘を願ってお別れになる。今日もこんな流れかな……。
和気あいあいと話が続く中、私は不穏な空気に気づく。
「どうした?エリーナ」
ボッサが私の表情の変化に気付いた。
「何か嫌な空気を感じたの。気のせいだと良いんだけど?」
「気のせいだろう。ここでも気を張り詰めているのか。持たないぜ」
ブレイドが笑いながら、私に声をかける。
「いや、流石、エリーナ。当たりだ。僕も感じる」
ランサーが私に同意する。
天井から5枚のカードが降ってくる。皆がそれぞれ一枚ずつ拾う。
「皆、あれ……」
リリーが怯えながら指を指す。
部屋には番号があるドアがいつの間にか現れていた。入ってきた時は無かったはず。
部屋の中を不気味な笑い声が響く。
「ようこそ!勇敢な戦士諸君!今日は私とのゲームを楽しんでもらいたい。皆が拾ったカードの番号の部屋に入って、そこにいる魔人や怪人と戦って、勝利を収めることが出来れば、解放される。ただし、負けた場合は死あるのみとなる」
「私はやらないわよ!他の皆は分からないけど」
私は大きな声で返す。
「いいのかな?断った場合は、皆さんが守っている惑星に総攻撃をかける。構わないかな?エリーナさん。貴方の場合は地球だ!」
「やるしかないみたいだな。部屋の中の奴らを全員倒せばいいだけだろう!望む所だ!」
ボッサが勢いよく返答する。
「安心したまえ。部屋の中にいる者は1人だ。1対1の勝負だ。楽しんでくれたまえ」
部屋は一気に静かになった。
私は改めて、自分のカードの番号を確かめる。4番の部屋の化物と戦うのか。
「考えていても仕方がない。それぞれの部屋に入ろう。皆、負けるなよ。勝ってここでまた会おう」
ランサーはそう言い残して、自分のカードの番号2番の部屋に入って行く。皆がそれぞれ自分のカードの番号の部屋へと入って行く。私も4番のドアを開く。
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