4人が本棚に入れています
本棚に追加
あぁ……。 また、今年も私は編まなければいけない。
それから一か月、彼とは楽しい生活を送れた。
「今夜は何を食べに連れて行ってくれるの?」
「うん? キミが食べたいものを」
「そう? だったらモルシージャが食べたいわ」
「モルシージャ? あまり聞いたことがないけれど、フレンチでもないかな?」
「えぇ、スペイン料理よ。 近くにあるかしら?」
「近場にはないが、なぁに、任せなさい」
飽きたという理由だけで、まだ一年も乗っていないセダンタイプの車から、先週新しい車に乗り換えている。
あまり見たことがない車で大きなSUVと言っていたけれど、私はとくに興味が無い。
「どうぞ」
わざわざドアを開けてくれる。 その優しさを、私だけに向けてほしかった。
真新しい車の助手席に乗り込み、ちらりと確認してみると、私より一足先に乗った人がいるようだ。
だって、新品のレザーにヒールの跡ができていますよ?
ちなみに、私は履いたことがない。 履かない理由もあるけれど、あえて言うなら、疲れちゃうからかな?
歩く疲れだけでなく、こういった車に傷もつけてしまう可能性もある。
気疲れすることもあるため、履くのを辞めてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!