うちの娘と初恋

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うちの娘と初恋

先ページでも書いた通り、私たち夫婦はオタクで戦隊、ライダーは毎年チェックしてます。 ええ、子供より夢中になってます。娘がどちらにもあまり興味を示さなくなった今でも我々はみてます。 とはいえ、もっと小さい頃は一緒になって見ていたものです。 ある意味一番気に入っていたのは2015年放送の「手裏剣戦隊ニンニンジャー」かなと思います。 まぁ忍者ものなんですが……我々夫婦も楽しんで観ていました。 娘は特に、物語中盤頃に登場したいわゆる追加戦士・スターニンジャーにご執心でした。 このスターニンジャー。役者さんがまぁハンサムでスタイル良くて……とにかくカッコよかったのです。 役柄としてはちょいとコミカルで明るくて騒がしいんですが、それゆえに主人公たち初期メンバーにも馴染んでいくんですね。 で、まぁさっきも書きました通り見事なイケメンなんですよ。個人的には過去作品の中でも5本の指に入るカッコよさでした。 そんなだから、もう……娘はずっとニコニコしてみてました。 「キンジ・タキガワ」という役で愛称は「キンちゃん」。 娘も主人公たちと一緒になってキンちゃん!!とずっと騒いでいました。 ただ……戦隊というものの儚さで、2月には放送終了しちゃうんですよね。ちょっと心配でした。もう金ちゃんに会えないとわかると、娘・じろーは落ち込むのではないか? 泣くんじゃないか? まぁその時はすぐに次の戦隊が始まり、興味が移ってくれたんで泣かれずに済みました。ですが……それで油断していたんです。 そう、その時は興味が移っていただけだったんです……。 事件はそこから数か月後に起きました。 その頃になると、前の戦隊のスピンオフVシネマが公開されるのです。我々はいつもDVDを借りてくるので、何より我々夫婦も楽しみにしていたので、さっそく借りてきて再生しました。 すると、うちの娘…… 「キンちゃん!!!!!!!!」 もう、目が爛々です。キラキラです。ウキウキです。 内容自体が面白かったこともあり、娘は我々以上に夢中になってキンちゃんを応援していました。 まぁ……喜んでくれたから、いいか……そう思いました。 が、しかしVシネマなので当然90分程度で終了するのです。 「はぁ~面白かったね。ほら、キンちゃんとはバイバイしよう」 そう言うと……言ってしまうと…… 娘は 「う……うわぁぁぁぁぁん!! キンちゃぁん~~~~~!!!! ああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 泣きました。ギャン泣きです。 しまった……失敗した……! 終ったとかバイバイとか言っちゃダメだった……! まるで初デート後にさよならしたくなくて大泣きする彼女のようでした。 これは……早く寝かせてしまおう。そう思って布団に入れたんですが、まぁ泣き止まない……! やっと泣きつかれて眠りかけたと思ったら 「ぐすっ……ぐすっ……き、キンちゃぁぁぁぁん……!!! うわぁぁぁん」 繰り返すこと5~6回。もう11時まわっていました。 最終的になんとか寝てくれましたが、我々二人とも、かける言葉がありませんでした。 娘が、わずか2~3歳にしてこんなにも一人の男性に恋焦がれるとは思いませんでした。 それ以降、キンちゃんを想って泣き叫ぶ日々は……送っていません。ケロッとしています。 が、同時にあそこまで思い入れる戦隊やライダーが現れていないことも事実です。 ああいうのを初恋というのでしょうね…… しょっぱくて甘酸っぱいなぁ……
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