うちの娘と桜とカラス

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うちの娘と桜とカラス

それは、娘じろーが三歳の春のことでした。 新しい保育園に移り、その日は慣らし保育ということで、少し早くお迎えの時間が来ました。 普段なら外が暗くなる時間までずっと保育園にいるので、明るい時間に帰るのが新鮮だったようです。 加えて保育園の向かいにはかなり大きな公園があります。遊具もあり、広場もあり、森のように木々も植わった場所です。保育園の運動会もこの木々に囲まれて開催されます♪ 4月の初旬には桜の花が一斉に咲き乱れてそれはそれはきれいなのです。頭上が桜一色に染まり、風が吹けば花びらが舞い、地面まで桜色に染まります。 そんな光景を目にした娘じろーは、息をのんで、次いで歓喜の声をあげました。 きれーーーーい!!! 一瞬で魅了されたようです。あんなに感動していることは滅多にありませんでした。良かった良かった。喜んだようで母も嬉しい。 吸い寄せられるように桜の木に走り寄るじろー。 そんなじろーのすぐ横を びゅんっ!!と滑空していくカラス 「!! びゃぁぁぁぁぁぁ!!!(本当にこんな叫びでした)」 泣き叫ぶじろー。 一転して阿鼻叫喚です。 あんな真っ黒いでかい鳥に接近されてよほど怖かったんでしょうね…… もはや桜などまったく目に入らない様子。 その日はそれで引き上げになりました。 以降、翌年もその翌年も、桜をみたいとは言わなくなりましたとさ…… 可哀想に……でも同時に……おもろかった…… おもろいと思っちゃってごめんね、じろー ぷぷぷ
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