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双子の兄弟
「あっ……やだ……伊央利(いおり)……」
伊央利が筒状にした手で俺の敏感なそこを擦り上げ、耳元で甘く囁く。
「これ……気持ちいい? 大和(やまと)……ここは?」
耳朶を甘噛みしていた唇が、唾液の跡を残しながら下へと降りて行き、俺の胸の突起に吸い付いた。
「だめっ……あっ……ああっ……」
「ほら、大和……おまえ、もうヌルヌルに濡れてる」
乳首と性器へ同時に愛撫を受け、限界が近づいて来る。
*
「大和! まだ寝てるのか? いい加減起きろよ」
ドンドンとドアが叩かれたあと、双子の兄の伊央利が顔をのぞかせた。
「えっ……? 伊央……、伊央利……?」
俺は官能の夢の世界から無理やり現実に引き戻され、目を瞬かせ伊央利の姿を見やる。
双子とはいえ、二卵性の俺たちはほとんど似ておらず、今日も兄の伊央利はどこまでもかっこよく、端整だ。
夢の中での伊央利はすごく甘く淫らに俺に囁き触れてくれたけれども、目の前にいる現実の兄は、寝坊助の弟に対し呆れたようなまなざしを送って来るばかりで。
「今日から早朝補習が始まるから、早く起こしてって言ったのはおまえだろ。ぼやぼやしてたら、先に行くぞ」
見れば伊央利は既に制服に着替えて、すっかり身支度を済ませている。
「待って、伊央利、十五分で用意するからっ」
「まったく。できるだけ早くしろよ」
軽く肩を竦めると、伊央利はドアを閉め、階段を下りて行った。
着替えなきゃと思った次の瞬間、俺は気づいた……夢精してしまったことに。
「…………実の兄とあんなことしてる夢見て、こんなふうになるなんて……俺、マジ変態かも……」
ベッドの上で溜息をついていると、階下から兄の伊央利の苛ついた声が呼んだ。
「大和! まだか? 朝飯の支度ももうとっくに済んでるんだぞ」
「は、はーい」
夕方、伊央利が帰って来るまでに洗濯しとかなきゃ。
箪笥の引き出しから新しい下着を出しながら、俺はわたわたと返事をした。
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