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泣き虫
羽奈多視点
特にやりたいことも無く、大学にも通わず
ただ生活費を稼ぐためにバイト漬け。
その為1つバイトが遅れると全部がズレることだって
ザラにある。
今日は特に遅くなってしまった。
異達には連絡したから、多分適当に夕食を済ませて寝ているだろう。
ブルーライトの光の明暗が示す時刻は午前0時半
日中より低くなる気温。
夜中だと言うのに止まない喧騒。
そんな雑音(ノイズ)を耳にしながら
既に電気の消えた異達の実家と自分達の部屋をみて、
自分で遅れたクセに少しだけ寂しい心地がした。
殺風景なアパートの階段を上り、無機質な金属音を鳴らしながら鍵を開ける。
しっかりと戸締りをして、靴を脱いだ。
いつもならおかえりだの遅かっただの飛んでくるのに、
先程感じた脆弱はこべりついたままだ。
大した防寒はしなくとも俺には丁度いい。
薄手の上着を羽織り、着替えもせずに異達が寝ているであろう寝室まで足を忍ばせた。
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