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異達視点
「…」
酷く涙声に呟かれた言葉に握られていた手首がぴくりと反応してしまう。
それでも何か不審に思い顔を近づけるわけでもなさそうなのでちょっとした安堵にゆっくりとため息をついた。
暫くもすればベットの横で手を握ったまま規則正しい寝息が聞こえる。
「…馬鹿だな。」
これまで押し殺していた言葉をふと口に出した。
泣いていたのはただ少しの思い出し。
それなのに俺より泣いて擦ったのか赤く腫れた目元、端正な顔立ちに目線を移す。
昔、と言えど高二からの仲だが。
影響されやすい、単純バカではある。
それが故に相手が笑えば同じように笑うし
相手が泣けば同じように泣く。
それでも芯はしっかり通った男だ。
ただ俺の問題で、俺が勝手に感情から来る涙を
一粒流しただけなのに
なぜあんなに寂しそうに、さもお前も体験してきたように苦しそうに、謝るんだ。
「………
俺も好きだ。」
これを面と向かって言うと目を見れない俺は
臆病者だろうか。
この後ベットに戻した
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