2019/12/31 久々の談話室

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2019/12/31 久々の談話室

  扉の上にあるベルがなる。  「いらっしゃいませ」  杖をついた男とみすぼらしい服を着た少女が入る。  「こんにちは、でいいのかな?」  「こんにちはでいいんだよ、イリス君」  「いや前にも似たような経験があるんだけどどうにも私には向かなくてね...今回だってほら、わざわざ見えるようにして貰ってるし...」  男はグッと少女に顔を近づける。  「ち、近いよ...イリス君...///」  「おいちょっと、そこでイチャコラすんのやめてくんない?入れないんだけど」  後ろから和服を着た少年が入ってくる。  「今回初参加だから入口で長いこと待ってたのに何を見せつけられてるんだよ、まったく...」  「私も初参加なんだから勘弁してよ...結構緊張っていうかなんていうかがあるんだし」  「ところでお前さんだけか?あの毛玉とかですですも来ると思ったんだけど」  「あー...」  少年はため息を付いて彼方の方を見る。  「八ノ条は作品(こっち)の都合で連れて来れなくて、瑠花は作者がですです書くの面倒だからパスだって...」  「メタいな...」  「メタいね...」  奥からメイド服を着た女の子が現れる。  「おーい、いつまで入口にいるだーい?そこにいたらお客さんが来た時に邪魔だよー」  「あ、ごめんなさい!」  「申し訳ない」  「ごめんなさい」  3人が店内に入り、カウンター席に腰掛ける。  「うーんなんというか...」  「ん?どしたのイリス君?」  「いや、あの先輩方がいないなと思って」  「先輩って前に出た時にいた先輩?」  マスターが静かに懐から手紙を取り出す。  「え、読めって?」  「え?嫁?」  「言ってないよ」  「とりあえず僕が読みますね」  「あれ?一人称僕だっけ?」  「2人も私がいたら分かりづらいじゃん」  「あ、うん。わかった。読んでいいよ」  少年はコホンと咳払いをして手紙を読み始める。  「えー、『どうも作者です。今回は皆さまお集まり頂きありがとうございます。一身上の都合ながら話を更新できず誠に残念なことを申し訳ないと思っております』」  「まあ本当に書く余裕なくなってきてるからな」  「だから一気にやれって...」  「それやってあっちの先輩方、丸ごと書き直されてる。あんまし下手なことは言うな」  「え!?」  「まあ作者は計画性が無いわけじゃないんだけど周りの人間に振り回されて計画立てても破綻しちゃうからね...続き読んで」  「あ、はい。『更新云々に関しては当分未定です。空いた時間のせいでろくに文章も書けないクソナメクジにレベルダウンしてしまい短編も書けない状態が続いております』」  「その段階まで落ちたか……」  「え?ヤバいんですか?またモチベーションが回復したら書けるんじゃないんですか?」  「あー……君は初めてだったね」  「まあ新参者だから仕方ない。説明すると作者はモチベーションが例えゼロになったとしても書けるんだよ。実際それで書いてた時があった、その代わり内容グチャグチャになったけど。で、問題はその内容がグチャグチャになった部分にある。内容がグチャグチャになるってことは前後性、伏線、あとキャラクター性の崩壊まで繋がって辻褄どころかこれまで書いてきたことを無に帰す。怖いことはそれを書いている途中で気付けないってこと。書いて見直してみて初めて自分が何を書いたかを理解して深く後悔する」  「さらに言っちゃうとそこから立て直すのがかなり難しい。現状書いていることを消すだけって行為で終わるけど当時の作者は1000文字でどうにかするっていう結構キツイ縛りをしていたからね。本人も精神的に大分参ったらしい」  「え、でもなんかこの感じだと自業自得みたいに聞こえてくるんですけど?」  「そう言えるのは第三者視点で見てるから。実際この時の作者は突然倒れた祖母の介護のせいで話を書いても話にならないレベルまでレベルダウンしてた。というか先輩方の方も家族ぐるみで一悶着あったから似たようなもんだけどね」  「ま、それでも言い訳として片付けられちゃうとどうにもならないんだよねー。作者もそこに対しては反論する気はないみたいだし」  「うーん、新参者の僕からするとなかなか実感わかない感じです」  「気にしない方がいい。書かれた当時の私も似たようなもんだったから」  「とりあえず続き読んで、読んで」  「あ、はい。えと『現在はカクヨムの方で行われているイベントに参加するための短編を書いております。自分にしては珍しいSFです、というか設定考えてたらSFになった(笑)。他にも数作品考えてはいるんですがまだやることが沢山あるので書けるかどうか、というところです。こちらでの更新は一時的に停止させて頂いておりますが色々と片付いたら週一ペースで書いていきたいと思います。ではまたどこかで    2019/12/31 こーががしん』」  男は溜息をつく。  「これで何回目のリハビリ何だろうな……」  「イリス君、そういうこと言わないの。もし作者がとてつもなく暇人で毎日しっかり更新できる社会人だったら今頃第2章に行けてるかもしれないよ?でも中身である私たちをしっかり書き切るために作者は忙しい中、変人とか阿保とか言われながら必死こいて構成立ててるんだから」  「……分かってるよ、それぐらい」  「新参者の僕が言うのもなんですけど作者ってなんで僕らのためにそこまでしてるんです?自分のことにひたすらシフトしてればいいと思うんですけど」  「「それ言っちゃうかー」」  少年は首を傾げる、二人は溜息を吐く。  「あの作者が生きる目的は初めから俺らを書くこと、それ以外に何も持ち合わせちゃいない」  「私たちが書かれたのは先輩方もそうだけど作者の自己満足じゃなくて自己肯定の為だから。もう作者にはこれしかないんだよ」  「え……?でも将来の夢とか目標は……」  「初めから作者はそんなもの持ち合わせてないよ。もう作者の人生は俺らに費やすこと以外に意味を持ってないんだ。だからリアルでやっていることはあくまでも俺らの為、運とか金とかも将来は俺らに当てるつもりなんだから」  「もう十分なんだよ、本来なら。でも他人を切り捨ててさっさと私たちにシフトできる程作者は残忍じゃないからねー」  「……先輩方はこのことをどう思っているんですか」  「あの人達は俺らよりも長いから作者の精神環境がどうなっているか大体把握してるはず。今みたいに荒れている状態よりもさらに酷い何もない状態を知っている。だから諦めてるというかなんというか……とりあえず笑ってるよ」  「僕って結構優遇されてるんですね……」  「まあ作者が設定をしっかり考えた作品のひとつだからな、まあ俺らもだけど」  「これからどう更新されていくか全くわからないけどこれだけは覚えておいて、作者はまだ諦めてない。ただ少し時間がかかってるだけってね」  「とか言って本当に書かなくなったら笑いもんだけどねー」  「いや無理して書くと作者が本当に死んじゃうし、そうなったらずっとこのままだよ、イリス君」  「確かに……」  少年は少し考えて席から立ち上がる。  「……うん、分かりました!僕は当分待ってます!あの作者が一体何をしているかは分かりませんがとりあえず僕らがするのは待つこと、ってことですよね?」  「そーそ、それでいい」  「ゆっくり待ってそれで余裕が出来たらまたここで何か書いてくれればいいよ」  男が少年の方を見ながら立ち上がる。  「とりあえず今日は乾杯しよう、折角の年末だし最後ぐらい楽しもう」  マスターは三人の手元にシャンパンの入ったグラスを置く。  「あれ、これ」  「ああ、大丈夫みたいだよ。アルコール入ってない」  「じゃあ遠慮なく」  「「「乾杯!!」」」  三人はグラスを合わせる。  「ところでさっき一人称が私から俺に変わってましたけど何か理由あったんですか?」  「なんか私らって言い方がこっぱずかしかった(笑)」
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