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※※※
「──え、27!? 真己って見た目よりけっこう歳イッてる! 私より上じゃん」
「弥夜子さんは見た目より若いんですね」
「老けてるってコト!?」
「口はヒヨコみたいです」
「はあっ!?」
そんなたわいのない話をいつも九時まで、ほんの三十分程度。でもその時間だけ私はいつもの自分でいられた。
(ん?)
ふと見ると、足元に寄って来た鳩の傍に白くて小さな何かがパラパラと降っている。
「……って、あんた何やってんの!?」
「朝ご飯を」
真己がパンを千切って鳩に投げてやっている。でもこの公園は確か……
「だ、だめだよ! ほらあそこの看板、フン害がすごいから鳩に餌をあげるなって書いて……」
言ってる傍から子犬を連れた年配の婦人が、目を吊り上げて近づいてくるではないか。
「げ、やばっ」
「アナタたち! いま鳩に餌あげてなかった!?」
「キャン! キャワワワン!」
「はい。ワンちゃんも食べますか」
「ちょ、あんたは黙ってて!」
私は彼のパンを取り上げてバッグに突っ込んだ。
「す、すみません。私たち今看板に気がついて」
「そういう無責任なコトされるとね、本当に困るの! どんどん集まってきちゃって、鳩のフンって感染症とか……」
謝っても女性は益々ヒートアップして、その主張は留まるところを知らない。
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