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※※※
ここ数日、私は昼から夜九時までの準夜勤になっていた。この前言いそびれて以来、真己には会っていない。
(いよいよ来週か……)
それを思うと、また圧迫感に息苦しくなる。
仕事を終え、帰ろうと病院を出ると外は霙が降り出していた。
それは雨よりも重い音を立ててコンクリートに冷たく弾ける。
(真己に、会いたいな……)
けれど、このまま会わない方がいいとも思う。
来週になれば私は今の私ではなくなる。真己は気がつかないだろうが、自分自身が臆してしまうだろう。
(バカね。朝、ちょっと話すだけの関係なのに)
傘を広げた私は、遠回りになる公園沿いの道へ一歩踏み出した。霙が傘を叩く音を聞きながら公園の中を流し見る。
いつもの遊歩道、時計台、いつものベンチ……。
(……っ!?)
それを見た私は一瞬で凍り付いた。
「真己!?」
思わず叫ぶと、ベンチでうつむいていた彼が顔を上げた。傘もささず、髪もコートも濡れそぼった真己の姿を常夜灯の光が青白く映し出す。
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