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第一章
ドアを開ける前から誰かいるのはわかっていた。鍵のかかっていないドアを眉間にしわをよせながら開けると、いつもと同じ間延びした若者の声が、真桑凛太郎を出迎えた。
「おかえりー、凛太郎さぁん」
彼らから見れば懐かしいであろう、昔懐かしのテレビゲームに興じる後ろ姿に、コンビニの袋を置きながら溜息をつく。
「……また来てたのか、倫」
「いい加減、鍵を植木鉢はヤバいって。防犯管理甘すぎじゃない?」
「そんなこと、侵入者のお前に言われたくないぞ。それにお前、来年受験だろ。ゲームなんかやってていいのか。もし落ちたら、俺が友也に会わせる顔がないだろ?」
「……うっるさいなぁ。そーゆー母さんみたいなこと言わないでくれるー? うんざりなんだよねぇ、こっちは」
本気で嫌そうな顔をする倫に、苦笑しつつも言った。
「そりゃお前がガキだからだろ。ガキは食わせてもらってる以上、何言われてもしょうがないもんなの」
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