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結局、忙しいだろう田中さんに無理をさせてしまった。
日付けが変わるまでお互いを貪るように求め合い、気付けば意識を手放していた。
ふと瞼を開けると、田中さんが隣でぐっすりと眠っている。
疲労感を漂わせる寝顔に胸がギュッって痛む。
僕は学生だから、田中さんが安らげる人間になれていないんじゃないか?って不安になる。
そんな事を考えていると、田中さんがうっすらと目を開けて
「どうしました?眠れないですか?」
って聞いて来た。
「ううん、今、ちょっと目が覚めただけ」
そう答えた僕の身体を、田中さんがゆっくりと抱き寄せる。
肌と肌が触れ合う感触に気恥しくて俯くと、田中さんが僕の額にキスを落として
「蒼介さんの香りは…安心します…」
と呟きながら再び眠りに落ちて行った。
規則正しい寝息を子守唄に、僕も眠りの中へと誘われて行った。
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