2.思わぬサプライズ

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2.思わぬサプライズ

「え!」 年末が近付き、あおちゃんが我が家に遊びに来た日の事だった。 「だから、田中さんは行かないんだって。俺、てっきり蒼ちゃんと過ごすんだと思ってた」 年末年始をどうするのか話題に上がり、僕は例年、田中さんは秋月家で年越しをしていたので、どうせ今年も秋月家で過ごすんだろうと思っていた。 しかし、あおちゃんからの回答は予想外のものだった。 京子さんが秋月家に嫁ぎ初めてのお正月だからと、翔のお父さんが家族旅行を計画していたらしい。 もちろん、その中に田中さんは含まれていた。でも、田中さんから「他に用事があるので」と断られたというのだ。 田中さんの叔母様が経営している旅館は、年末年始が繁忙期なので毎年、田中さんが訪れる事は無いと既にリサーチ済みだった。 だとしたら…一体誰と何処で過ごすんだろう?と不安になる。 その日の夜、田中さんに電話をすると 「あぁ…。はい、その日は御恩のある方に空けておくように言われまして…」 と、申し訳無さそうに言われてしまった。 「え…。じゃあ、初詣には行けないの?」 ぽつりと聞いた僕に 「いえ、初詣までには帰宅しますので」 って、やんわりとそれ以上聞かないように制止させられてしまった。 田中さんと次に会う約束は29日~30日。 もう、翔達に構わなくて良いなら、一緒に大晦日を過ごしたかったな…。 そんな事を考えて夕食を食べていると 「母さん、大晦日に荻野が泊まりに来ても良い?」 と、章三が言い出した。 「はあ?なんで荻野なんかを呼ぶんだよ!」 思わず反論した僕に章三はムッとすると 「荻野は毎年、大晦日と元旦は1人なんだって。だからせめて、うちで一緒に過ごしてあげたいなぁ~って」 そう呟いた。
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