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荻野とは…僕のクラスメイトで、僕は認めてないけど章三の恋人。
あおちゃんに片想いしていた章三を、強姦した奴。章三は「もう、済んだ話だ」と言うけど、僕は許していない。
あんなにボロボロになった章三を初めて見たし、熱が2日も下がらない程にめちゃくちゃにした奴を認められない!
口をへの字にしていると
「兄貴さ…、まだ根に持ってる訳?」
って呆れた顔をする。
「当たり前だろう!僕の可愛い弟に…」
思い出すだけでも腸が煮えくり返る。
母さんが洗い物をしているのを横目で確認すると
「別に、今は合意で同じ事をしてんだから、拘る理由が判らねぇ~」
と小声でボヤいた。
「ちょ…、章三!」
思わずテーブルを叩いた僕に
「お兄ちゃん!行儀が悪いわよ!」
って、母さんから雷が落ちた。
「そうね。大晦日、荻野君も呼んで上げなさい。大勢の方が楽しいもの」
微笑む母さんに
「僕は反対だ!」
そう叫んだ。
「お兄ちゃん!荻野さん、元々はお兄ちゃんのお友達でしょう!章ちゃんに取られたからって、ヤキモチ妬かないの!」
母さんの言葉に、頭に血が上る。
「冗談じゃない!あんな奴の為にヤキモチ妬く訳が無い!」
思わず怒鳴った僕に
「もう…、本当に弟離れ出来ないダメなお兄ちゃんね!」
母さんは溜息混じりにそう呟いた。
「じゃあ、俺は荻野に連絡して来る」
食事を終えた章三が、食器をシンクへと片付けて部屋へ上がって行くのを追いかけようとすると、母さんに肩を掴まれて
「ご飯、食べてからにしなさい!」
と怒られてしまった。
気が気じゃない思いで食事を済ませ、僕は章三の部屋へと足を運んだ。
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