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ところが、顔合わせの数日前になって、清ちゃんから「料亭はキャンセルした、家での顔合わせなる。サッちゃんだけ来て欲しい。」と言われた。
料亭の座敷なんて贅沢だと思っていたので、それは別に構わないのだけれど、娘も息子も連れて来なくて良いとは、急な変更に戸惑った。
「何かあったの?」
「いや、スペースの問題だよ。」
確かに自宅にゾロゾロと来られても困るだろう。だからこその料亭だったのだろうと思っていたのに、それがキャンセルになった理由は教えてもらえなかった。
顔合わせの当日、清ちゃんが車で迎えに来てくれた。いつになく無口な清ちゃんに、少し心配になる。
「娘さん、もしかして反対なの?」
「いや、大丈夫だよ。」
清ちゃんの少し強ばった横顔が言葉通りには見えなくて、少しも大丈夫と思えなかった。
もしかしたら、清ちゃんの娘さんは私の事を財産狙いのバケモノだと思っているのではないだろうか?
自分自身、清ちゃんの財産を全く当てにしていないとは言えない、と思った。今までよりも楽に暮らして行けるかもしれない、そんな欲が心の奥に少しはあった。だけど私はバケモノなんかじゃないはずだ。娘さんにもきちんと話をすれば分かってもらえるだろう。
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