誰がバケモノか

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初めて案内された家は、建売住宅でありがちなサイズの、ごく普通の二階建ての家だった。 出迎えてくれた清ちゃんの娘さんは、面差しがよく似た丸顔の大人しそうな人だった。この人が金遣いの荒いバケモノなんて、人は見かけによらないと思った。 案内されたダイニングには六人掛けのテーブルの周りに所狭しと椅子が並べられていた。清ちゃんと私が並んで座り、向かい側に娘さんが座った。 「こちら、山下幸子さん。こちらが娘の美穂子です。」 清ちゃんが紹介するや、挨拶もそこそこに美穂子さんが単刀直入に切り出した。 「私、この結婚…というか、同居には反対しています。」 ああ、やはり、と思った。きっと娘さんは私の事を欲に目が眩んだバケモノのように思っているのだろう。そんな事はない、大丈夫だと説明をしようと思ったけれど、美穂子さんの勢いは止まらなかった。
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