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ところが浜野さんは自慢話などはおくびにも出さず、普通に質問をしてくれた。
「ご趣味はスポーツ観戦とありますが、何でもご覧になりますか？」
「そうですね。何でも好きですけど、特に野球が…」
二人とも地元の球団のファンだと分かり意気投合した。
「会社を経営って、何の会社をされているんですか？」と水を向けてみたが、「いやぁ、小さい会社で…」とひけらかさない様子も好ましかった。
結局、２０名とお見合いをして、もう一度話したいと思えたのは浜野さんだけだった。
その後、フリータイムとなり、皆がドリンクを片手に動き出した。話したい人の所へ行く人、デザートを取りに行く人。どちらの波にも乗れずボンヤリ眺めていたら、浜野さんがデザートを山盛りにしたお皿を手に現れた。
「何か取りましたか？良かったら一緒に食べませんか？」
お世辞にも盛り付けが上手とは言えなかったが、一生懸命に選んできてくれた事がうかがえて、それが嬉しかった。
「ありがとうございます。じゃあ遠慮なく。」
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