〈奇しくも〉不知火知らぬ亥

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〈奇しくも〉不知火知らぬ亥

奇しくも今日は僕の誕生日だ。嫁さんが帰ってきたら二人でケーキを食べる。レアチーズケーキかスフレチーズケーキ。そう注文しておいたのだが、嫁さんはちゃんと買ってきてくれるだろうか。 奇しくも今日は母さんの初恋記念日だ。相手は父さんじゃない。従兄弟のヒデおじさん だ。背が高くて、優しくて、よく遊んでくれた、というのが理由らしい。似ていたから父さんの事を好きになったとも教えてくれた。 奇しくも今日はじいちゃんの結婚記念日だ。クラスのマドンナと結婚して、実家の喫茶店をついだ。途中で漫画喫茶になったけど客の入りが悪いから喫茶店に戻した。そうしたら常連さんが戻ってきてくれたらしい。 奇しくも今日はひいばあちゃんの命日だ。今日はもう遅いから、明日墓参りに行く。大好物のチーかまをお供えしたら喜ぶと聞いてそれを信じ、せっせと並べたのを思い出す。買い忘れていたから明日コンビニで買おう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 不知火知らぬ亥(しらぬいしらぬい) 異世界系小説家 元厨二病 異世界に転生したい 愛妻家 『愛妻家が異世界に再転生したら 恐妻家の大黒柱とタッグを組んだ』 でデビューするも憧れた賞はとれず病む
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