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〈黒色セーラー服と絶望と〉 赤松冷菓
今、都会では、制服でテーマパークへ行くのが流行しているらしいですね。あら、もう遅いですって? まあ、都会の時間の流れは速いですからね、そういう事もありますよ。
さて、少し昔の話をするこちらのコーナーにおいて、かなり昔の話をするのはいけない事でしょうか。どうか一席、お付き合いくださいませ。
時代を遡りまして、時は私の学生時代。自転車で通えるというなんとも安直な理由で選んだのが母校であるA高校なのであります。大人の評価がべらぼうに善い普通科に隠れて生きる商業科だった私には、どうしても許せぬ事がありました。それは、女子の制服が黒色のセーラー服であった事。加えて、リボンまで黒色とは、もうまるで喪服。母の母校に通うという喜びをひょいと越えてしまった絶望感を消化しつつ送る学校生活は、それなりに楽しかったのでしょう。美化されたとは言え、生活を思い出すと笑顔になるのです。勿論、黒色のセーラー服には絶望しますが。
さて、A高校に通う孫娘は、善い思い出を造れるでしょうか。黒色のセーラー服を着て出掛けていく姿がを見る度に、あの頃の絶望が懐かしく思えます。
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赤松 冷菓(あかまつ れいか)
小説家・エッセイスト
無類のパ◯ンアメ好き。
忘れっぽく、方向音痴で、ボケているが、
昔からなので年齢のせいではない。
読書家で、本が大好き。本が並べられた本棚も好き。本屋へ行くとテンションが上がりその後は何をしていても楽しく思える。
代表作は『化かしにげしょう』
『十八歳以上禁止』
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