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〈白色のチョーク〉 義理知世子
高校生の時分、授業中に居眠りしていると、白色のチョークが飛んできた。今なら『体罰』になるのだろう。娘たちに聞いてみても、チョークが飛んでくるなんて事はなかったと言う。それなら長い棒で叩かれた事も、貶されながら殴られた事も、ないのだろう。なるほど弱いわけだ。夫に叱られただけでわんわん泣く孫を見ていると、時々心配になる。
そういえば、今都会の学校ではタブレット学習が広がり、ホワイトボードが黒板に代わって置かれているらしい。黒が白に変わり、白が黒に変わるとは、オセロに似ている。チョークで書く時のこつこつ音も、耳障りな引っ掻く音も聞いた事のない子供たちが増えていると知った。学習に集中できる静かな空間は大切かもしれないが、こつこつ音の柔らかさとリズムが好きだった私は少し寂しく感じる。こんな事を言う私は『老害』だろうか。
白色のチョーク。ノート。机。鉛筆。隣。胸をときめかせた物が消えていく。夫が黒板に書いてくれた相合い傘も……。
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義理 知世子(ぎり ともよし)
作家・エッセイスト
おい誰だ「義理チョコ」って読んだ奴
夫とは仲良し
だからよく喧嘩する
子供たちとも仲良し
だからよく喧嘩する
孫とも仲良し
でも喧嘩したことない
代表作は『義理チョコ』
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