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〈むくつけき〉 マラズト・マートス
むくつけき大男、と聞いて私は、めちゃくちゃに体中がむくんだ男の人を想像した。腕や足がぱんぱんに膨れ上がって、本当は平均体重ぐらいなのに大男に見える。そういう人だ。頭の中で物語に合わせて動かしてみるとかなりおもしろい。でも、病気でなってしまっているのなら大変だ。慌てて造った脳内病院でどうにかこうにか、大男は男になった。
むくつけき大男、現代語に訳すと無骨な大男。なんだかしっくりこない。やっぱりむくつけき大男はめちゃくちゃむくんだ大男だ。うん、その方がしっくりくる。しっくり。
こんな風にしていたせいで国語、特に古文の成績は良くなかった。でも、こんな風にしていた方がおもしろく思えてこない?
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マラズト・マートス(まらずと・まーとす)
作家・エッセイスト
哲学者になりたかった
講談師になりたかった
落語家になりたかった
三つともなれなかった
でも妻にはなれた
それから母になれた
これから祖母を目指す
『善行と報酬』でデビューできた
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