〈独り言の本好き〉 神楽坂無花果

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〈独り言の本好き〉 神楽坂無花果

高校二年の時、教室に私の居場所は無かった。というより、分からない状態だった。無論、友達はいたが、皆でわいわいするのが苦手な人たちであった。こんな状態だから、私の居場所は本館中央三階の、図書室になったのである。 認知度は低いが、図書室はわりかし快適な空間だ。期間は限定されるが冷暖房完備で、様々なジャンルの本もあり、落ち着く匂いが充満している。短所は殆ど無いという素晴らしい空間であるにもかかわらず、どこか敬遠されている。行った事が無い人は、本当に損しているなと、今でも思う。しかし、行くも行かぬも人の勝手である。 私がよく読んでいたのは、分厚いファンタジーか、色褪せた漢学の本だった。ファンタジー作家の中に好きな人がいて、シリーズ全てを読破しようとした事もある。が、今でもそれは出来ていない。もう諦めてしまった。漢学の本は、文字が小さくて少々どころではなく読みにくかったが、それでも読みたいと思える程に、魅力的に感じたものだ。ファンタジーも漢学も、今読むよりもわくわくした気持ちで読み進めていたに違いない。 さて。高校を卒業して、短大へ進学し、社会人になって、早十五年。大人は忙しく、図書室(館)とは縁遠くなってしまったが、反動からか本を読む時間は増えた。巷ではDIYが 流行っていると聞く。そうだ、空き部屋を図書室に改造しよう。背の高い本棚に、片仮名と漢字を一杯詰め込めるように ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 神楽坂 無花果(かぐらざか いちじく) 作家・エッセイスト・トップブロガー 二児の母。 ペンネームの由来は“好きな漢字を使っただけ”。 無類のファンタジー・古典好き。 処女作は『やーい、チビ』
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