死にながら生きている

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眼前に広がる、白 自分の状況を理解するのに五分はかかっただろうか? 鉄パイプの仰々しい装置の付いた何かの上に寝かされて すすり泣く声は母と、父と、姉のものだろう 腕が動かない 色んな管に繋がれて、物理的に動かせないのだ ーーー残念ですが 低い声が聞こえたかと思うと、それは俺がよくお世話になってる外科医のものではないか 母と、父と、姉の泣き声が一層大きくなった ちょっと待て待て これでは俺が ーーー午後10時32分に 死んだみたいじゃねーか! そうだ、この視界の白は死んだ人にかけられるあれだ 布だ 冗談よしてくれ、俺はまだ生きてるぞ!? 俺は全身の力を最大限に込めて起き上がった 「ふざけんな!俺まだ意識あるし!」 瞳孔が開ききっているはずなのに動く俺を、家族も、主治医も、看護師もゾンビを見るような目で見ていた 俺は死にながら生きていると天界の妖精が告げに来たたのは、後日のことだった
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