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それは、あっという間だった。
会ったこともない、
黒いスーツを着た男性の人の合図で、妻の棺は焼かれた。
もう一度、彼女に妻に会いたい。
空高く上り逝く…葬儀場から立ち上る煙を見上げ、僕は屋上にいた。
「そこにいるのか?」
手すりに手をかけた…
空高く手を伸ばし、きっと妻が僕の手をつかんでくれると。
「お父さん??」
僕の背中にシュンの声が聞こえ振り返ると、その場に座って僕を見ていた。
「な、なにしてるの?危ないよ?」
「…ああ。」
「僕をおいて、自分だけ?お母さんに会おうとか思ってないよね?違うよね?」
「シュン…こんな父さんを許してくれるか?ごめんな。」
子どもの目の前で、去る事を選ぶ!?
なんて酷い事をしようとしているんだ?
…でも、何と言われようとも僕は妻…なおこに会いたかった。
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