#01[扉の向こう]

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「リュウ!!」 何度となく彼女は僕を呼んで、その声もどんどん大きくなっていたが。 だけど僕は、ここにきても… これまでの幸せだと思えたあの日々が、偽りだったと聞かされ失いそうで… また、訪れたこの瞬間も振り返るのが怖かった。 あの結末がわかっていてもだ…。 みつはるがいるに違いない。 あの瞬間、僕を愛しているそう言ってくれたけど…。 あの瞬間だったからなのかもしれない? 二人で…僕を追いかけ、 違う選択を迫られるのかもしれない? 「リュウ!お願い!話を聞いて!」 聞こえてくるのは、なおこの声だけだ…。 ー振り返ろう! そう決めて、また訪れたこのチャンスなのに。 なかなか振り返る勇気が持てなかった。 彼女の声から逃げるように、目の前の点滅している横断歩道をかけ渡った。 渡りきった時…。
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