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二十代
俺は今日、一児の父となった。
妊娠の報告を受けて、健康そのもので生まれた一つの生命に涙し、慈愛の目で赤子を抱きしめる妻と共に、命の結晶を抱きしめる。
生まれて来てくれて有り難う。でもこれから先、俺は親としてやっていけるだろうか。
感謝の気持ちと共に不安が訪れる。妻には不安など見せまいと振る舞うが、心の奥底では不安がのたうち回る。
今までの日常とは一転する、守るべき生命が一つ増えた、当たり前の日常。
どれだけ感情を募らせても、どれだけ遊びたい気持ちが表れても、その一つの生命の為に働かなければならない。
夢を歩んで、目指して、その上でこの子のためにと身体に鞭を打つ。
───ああ、親父って凄いんだな。
そうやって、振り返る二十代の最初。
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